島根有機農業協会ブログ

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食の練習問題 №30

2010年3月10日

Q:農薬や化学肥料を慎重に使いながら進める慣行農業に続いて、有機農業について見てきました。これからの農業のあり方は、どのように考えればよいのでしょうか。

A:21世紀を見通すとき、これからの日本にとって、食糧生産に大きな影響を与える資源・エネルギー問題にどう対応するかは、きわめて重要です。現在、日本の石油依存度は極めて高く、自然エネルギー・再生可能エネルギーの開発・利用は先進国に中で立ち遅れています。エネルギー自給率が極端に低いのです。
近年、石油を代表とする再生不可能な資源の枯渇問題が急浮上しています。最近の石油や稀少金属類の価格高騰は、枯渇だけが原因ではないようですが、今のままで世界の資源利用が増大していけば、近い将来枯渇するのは確実でしょう。石油の枯渇、あるいはその兆候が見えたときの石油価格の高騰は、安い石油がいくらでも手に入ることを前提としている日本の慣行農業に大きな影響を与える事になります。化学合成農薬も化学肥料も、施設園芸の資材も、季節はずれの作物を生産するためのエネルギーも、農業機械を動かす動力源も、石油が手に入らなくなれば、あるいは高くて手が出なくなれば、生産は継続困難となります。そのようになってから、有機農業などに転換しようとしても、簡単には転換できません。かつての有機農業実践者達が苦労したように、最低限3年~5年を掛けて土作りに取り組まなくてはなりません。種子自体も慣行農業を前提として作られていますから、有機農業に適した種子を探す必要があります。入手は大変難しいでしょう。
 石油が枯渇するまでに、石油に代わる農業用の新しいエネルギー源が開発される、等という甘い期待は持たない方が賢明だと思います。
前回に紹介したキューバの状況が日本でも起こりうるということです。どうすればよいのでしょうか。
地球環境に負荷を掛けない持続可能な農業を考えれば、今後推進すべき方向は、「有機農業」中心にならざるを得ないのではないでしょうか。一挙に、全面的に移行することは難しいとしても、慣行農業からの転換をなるべく速やかに、効果的に進める支援制度や地元の生産物は地元で消費する地産地消の推進など、地元の生産者を支える運動も今以上に必要となるでしょう。問題が起きてから対応を考えるのではなく、明確な目標を持って経営内あるいは地域自給についても、真剣に考えておく必要があるでしょう。