島根有機農業協会ブログ

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食の練習問題 №28

2010年3月10日


Q: 今、世界では多くの人が慢性的な栄養不良で苦しみ、毎年1800万人が飢えが原因で死亡していると聞きました。世界中の人々が食べていけるだけの食料が生産されていないのでしょうか。

A:多くの推定は、世界中の人々が食べるのに十分な食料は生産されているとしています。毎年生産される穀物等の量は、平等に分配されれば、誰もが生存に必要とされている以上に得ることができるということです。しかし、現実には、肥満に悩む豊かな国での消費が多く、輸入する余裕のない貧しい国々では、一人当たり平均摂取熱量が健康維持に必要なレベルを下回っています。食糧援助もいろいろな理由で必要な人に届いていないのです。
 FAOによれば、近年の世界における栄養不足人口は8億5千万人前後であり、増え続けています。そして子供の餓死者は年間500万人にも上るというのです。
 一方、日本は、世界最大の農産物純輸入国(金額ベース)であり、2位のイギリスの2倍以上になっています。しかも遠く離れた国々からの輸入が多く、食糧輸送に伴って地球環境にも大きな負荷をかけています。食糧輸送が環境に与える負荷の大きさを表す指標(フード・マイレージ)は、国全体としても、国民一人当たりで見ても圧倒的に世界一となっているのです。
日本の輸入農産物を国内で生産したとすれば、1200万㌶もの農地が必要と試算され、これは、国内の農地面積の約2.5倍にもなります。しかも、耕地が不足しているというのならまだしも、国内農地の10数%は耕作されておらず、農地の利用率も低下の一方なのです。
 また、近年の自給率は、カロリーベースで40%となっています。この数値が、50%を下回っているのは、主要先進国の中では日本だけです。国民の食糧確保という国の基本的な安全保障が外国頼みで確保されていないのです。それにもかかわらず、日本では毎年1900万トンという国内生産にも匹敵するほどの食糧を食べずに捨てています。この量は、世界中の食糧援助量の3倍にも相当する膨大なものです。
以上のような日本の食の現状は、世界に存在する栄養不足の人々や子供達の餓死と直結しないとはいえ、無関係とは言い難い問題でしょう。
昔の人なら「バチが当たる」と心配されるような現実ではないでしょうか。
食の「安全・安心」を求める前に、この様な日本の食のあり方を、本気で考え直さなければならない時期に来ているのではないでしょうか。