島根有機農業協会ブログ

木嶋利男先生の勉強会

2019年2月21日

2019年2月20日(水)

 美郷町有機農業推進協議会が主催の木嶋利男先生の講座があり参加しました。昨年に引き続きの講座で、今回のテーマは「身近な家庭菜園(葉菜類)からの有機栽培方法」で、町内だけでなく県内の関心のある方々50名以上が参加されました。

 さまざまな葉物野菜の性質を作物の原産地の特徴からせまり紹介されました。例えば、同じアブラナ科でもキャベツと白菜は原産地が違うため性質も大きく異なり、よって管理方法も異なるというお話。これは石綿先生の講義でもお聞きした内容でした。例えば、キャベツは他の植物との共存を好むので草が生えていてもよい。白菜は周りを駆逐する性質が強いので草は生えにくいが近くの白菜にも影響するので離して植える。また葉物野菜で経営されている農家(法人)の事例も紹介されました。

 葉物野菜以外の品目でもその作物の性質に合わせた管理が大事だということを踏まえた栽培のコツを教わりました。例えば、キャベツの一部が害虫にやられたら、駆除しないでそのままにしておくと、天敵を呼ぶ物質が放出され害虫が減るというお話、大豆は3粒ずつまいたほうがよいなど数々の説明をいただき、参加者のみなさんからも、なるほどこうすればうまくいきそうだと感嘆の声が何度もあがっていました。

 私も農にたずさわる年数はだんだん長くなってきましたが、作物によく向き合っていないなあと講座のお話を聞いて感じます。こうこうこういう性質だからこのように管理しようとか、今こういう状況になってしまっているから、このように工夫しようなど、品目や状況に合わせた対応ができていない。これは時間不足もあるし勉強不足、はたまた努力不足によるもので、当面は経営目的の作付けは行わない予定ですが、計画的に動いていきたいなと改めて思いました。まずは、最初のハードルの獣害対策を十分行うことが必要なのですが。

 講座では、有機農業や有機JAS認証についての現状を世界と日本とを比較したお話があり、認証機関に勤める身としても考えさせられました。ここでは省略しますが。

 参考になった技術の一部をお知らせします・・・。

・じゃがいもはへその部分を切り落としてから縦に切り植える。そして逆さに植える。(栄養繁殖するものは切ることで若返りにつながり、病害虫に強くなる。ショウガも50gをさらに細かく切って計50g分を1か所に植える。にんにくは皮をむいたほうが強くなる等)

・じゃがいものいもは茎の部分。茎は地下よりも地上にあったほうが生育がよいが、日に当たると毒となってしまう。土に埋めずに植えて黒マルチを掛けると生育がとてもよい。植える際は切り口を上にして初期の根が土に入っていきやすいように。

・オクラは2~4粒まきなど、多いほうが、養分の吸収を競合するのでさやが固くなるまでの時間がかかり、収穫しやすくなる。

・サツマイモは葉4枚のうち2枚を上に出して縦に植えると収量はそこそこだが丸くて味のいい芋ができる。寝かせると形状や収量がよいものができる。味はほどほど。船底植えで切り口を地上に出すと、根がどこまでも遠くへ行かずほどよいものができる。なので、植え方を使い分けるとよい。形を重視する場合は植えてから110日を超えないようにする。苗を切り取ってから10日ほど新聞紙にくるんでおき根が出始めてから植えると活着がよく、夏の日照りなどの影響に対処できる強いものになる。

・かぼちゃは実の先に10枚以上葉がないと甘くない。

・里芋は収穫1か月前に茎を踏みつけて倒すと芋に栄養がいきやすくなり収量が上がる。ただし、天気のよい日の夕方でないと茎が固くて折れてしまうので注意。逆さに植えたほうが病害虫に強く土寄せの必要がない。1本立てにして脇の茎をすべて落としたほうが、孫いも、ひ孫いもが育ち(そろい)、収量も増える。親芋を植えると収量は多い。小いもを植えたほうが味はよい。

 その他いろいろありました。いずれも家庭菜園程度の私にもわかりやすい説明で、実践してみようと思うことばかりでした。また継続してお話をお聞きできればなと思います。